フランダースの犬に続いて、赤毛のアンのDVDを見終わりましたが、素晴らしかったですね。
これぞ高畑勲って感じです。
これをもし私が若い頃に見ていたら、私の人生も少し変わってたんじゃないかというくらいすごかったですね。
ただ、何年か前にGYAOで無料だったときにも1話をすこし見て、「結構面白そうだから、いつか全部見よう」と思ったくらいで、それきり見てなかったので
今の自分の年齢だからこそ感動できるのかもしれない。
今全話観終わって振り返ってみると、前半と後半は別作品のような感じもありますね。
前半はアンは変わり者で何を言い出すか、何をしでかすかわからない面白さなんですが、
後半アンは急に成長して村一番の優等生になる、変わった言動もしなくなる。
代わりに養母のマリラと養父のマシューは歳を取っていき、特に厳しかったマリラは弱々しくなっていく。
立派な女性になっていくアンを誇らしく思うのと同時に、小さかったころのアンを思い出してマリラが涙を流すシーンが、そのアニメを見てる人の心理と見事にシンクロするようになっている。
このマリラが泣くシーンは、アンの子供のころの服を見て昔を思い出すシーンと、
アンがドレスを作ってもらったお礼にマリラとマシュウに演説を聞かせるシーンの2回あるがどちらも演出が素晴らしい。
原作も読むつもりですでに買っていて、このシーンだけチラッと読んでみたが、
セリフやナレーションもほぼそのままで、このすごさは現作に既にあるものだった。
しかし、感傷的なBGMなどは一切無く、普段無表情のマリラが涙を流して静かに声を押し殺して泣く演出、
泣くマリラに抱きついて慰めの言葉をかけるアンに驚いたような表情。
子供のころのように抱きつかれたことの驚きと、泣いてる自分を慰めてくれるほどアンが成長しているという二重の驚きを表現した演出は高畑勲のものだろうと思う。
見始めたころはマリラがあまりにアンに厳しくて無表情で、こんな演出でいいのかな、子供にはただ意地悪なおばさんにしか見えないんじゃないのかなって思うところもありましたが
よくこんな微妙なキャラを子供向けのアニメで表現したと思いますね。