小島剛夕の古い作品集

 

4話入っていてどれも面白かったが、「母なる者の乳」という話が特によかった

以下ネタばれ含む

侍崩れらしき殺し屋の主人公が、人を切り殺した後、殺した相手の子供に「人殺し!」と罵られるシーンで始まる。

その後、産んだ子供を育てようとしない女に会う。子供に乳をやろうとしない女に怒りながら米のとぎ汁を飲ませたり他人に乳をもらったりしながら苦労してるうちに

ある日、女が乳が出るのに出ないふりをしていたことに怒り、女を縛り付け無理やり子供に乳を飲ませる。

女は乳を飲む子を見て初めて母性に目覚め、涙を流して侍に感謝する。

男は「こんな自分が命を一つ作ったのだ」といって夕陽をバックにほのぼのと話が終わるかと思った瞬間、

冒頭の親を殺された子供が突然現れ「人殺し!」と言って男を刺し殺す。

「自分は人殺しだったのだ…」と言って終わる。

この本の4話中2話は脚本が「昴すまる」ということになっているが

この「母なる者の乳」には脚本家は書いてないので脚本も小島剛夕ということになると思う。

小島剛夕はこんな脚本も書ける人なのだろうか。しかもこの構成と演出のすごさ。

最初の「人殺し!」のセリフが最後にこう使われるとは。

それにしても「昴すまる」とは何者だろうか。検索しても全く情報はなく、小島剛夕の作品でしか名前はない。

小島剛夕の別名なのかもしれないし、別の有名な作家なのかもしれない。

小島剛夕の2話も昴すまるの2話もあまり作風に違いは感じられない。

この辺に謎があるので、まだいろいろ読んでみなければ。