カムイ外伝はカムイ伝のスピンオフ作品で、カムイが抜け忍となって逃亡中の出来事ということに一応なっているが、
四方田犬彦の白土三平論を読んでいたらカムイ外伝の連載が始まったのは1965年で、
カムイ伝の方の連載で言うとタブテが死んだころ(死んでないがそう書いてある)で、
まだカムイが抜け忍どころか忍者にもなっておらず、忍者になるそぶりすらない時代なんだそうだ。
さらっと書いてあるが、リアタイムに読んでいた人にとっては何でもないことなのかもしれないが
自分にとってはものすごく意外だ。そんなこと考えたことすら無かった。
あの時点でカムイは忍者になって抜け忍になることまで決まっていたということで、リアルタイム世代はそのつもりで読んでいたということだ。
そもそも「抜け忍」とか忍者を「抜ける」なんていう概念が当時の読者にあったのだろうか
なんで1話からカムイが忍者になってて、しかも忍者に襲われてるのかと思わなかったのか?
しかも変移抜刀霞斬りを使っているが…???不思議だ
四方田犬彦は外伝が小山春夫の作画で始まったかのように書いてるが、私が見た感じでは初めの方は小山春夫ではないと思う。
はっきりいってあまりうまくはない絵だ。小山春夫は赤目プロに入った時点で貸本漫画家としてのキャリアもあり、他の漫画家のアシスタントの経験してるのでもっと絵が上手い。
とはいえこれがカムイらしいと言えばカムイらしい顔ではある。
あまり意識してる人が少ないようだが、よくカムイ伝の紹介に使われるこの白土三平論の表紙のカムイだってカムイ外伝のカムイだ。
荒木飛呂彦のビーティーや矢口高雄の絵に影響を与えると思われるこういうグリグリ目のカムイも外伝のカムイである。
四方田犬彦もカムイ伝と外伝のカムイの目の色の違いは指摘している。
これが誰の絵かわからないんだけど、池内誠一という今はゴルフ漫画で有名な人が昔は白土のアシスタントだったそうで、ガロに一度だけ作品を載せているが、その主人公がこういうグリグリ目である。
だからこれが池内誠一の絵かもしれないし、単にアシスタントをしてるから池内のほうが赤目プロのだれかに影響を受けてるだけかもしれない。
中盤の、おそらくコノマや天人のエピソードのあたりの絵は小山春夫だと思う。
この辺りは絵はいいが話がまとまりがなくつまらない。
そういう点はワタリとよく似ているというのは四方田犬彦と同じ意見だった。