矢口高雄の自伝的作品「9で割れ!!」は面白かった
矢口高雄は白土三平が好きで釣りキチ三平の三平も白土三平からとったそうだし
自分の子供の名前も三平とつけようとしていたほど、白土三平が好きで
絵にも影響がみられるが、なぜ白土三平のアシスタントにならなかったのだろうか。
この作品によると漫画家になる前に、自分の作品を没にしたガロの長井勝一に意見を聞くことと、
白土三平に会うためにガロの青林堂に行くが、白土三平は人間嫌いで会うことはできず
代わりに水木しげるの職場を紹介してもらうのだった
そこでは水木しげるには絵を誉められ、長井には絵がだめだと言われことを言うと
水木は「自分は絵描きであり、長井は絵描きではない、どちらの言うことを信じるのか」と言われ
矢口は自分の絵に自信を取り戻すのだった。
また、水木のアシスタントだった池上遼一やつげ義春にもアドバイスを受けるなど、とてもいいシーンが描かれている。
矢口は子供のころ手塚治虫に感動して漫画家を志し、終生、手塚治虫を尊敬していたが、貧しい田舎育ちだったこともあり、銀行員として10年以上働いていた。
職場の人に借りた白土三平の作品を見たことで再び漫画家を志すが、
そのころは既に白土三平は人前に出なくなっていた時期だったのだろう。
この時白土三平に会っていたら、どうなっていただろうか。