白土三平自選短編集というのが最近出ていたようだ。
白土三平の短編集は過去にも色々出ているが、これに載っているものもすべて読んだことのある作品なので図書館で借りた。
興味深かったのは白土三平は90歳に近い今でもスケッチを習慣にしているということが書かれていて、その一部が掲載されていることだ。
これはファンにとっては実はすごいことで、白土三平の作品は複数の人が作画をしているので基本的にどの作品を誰が描いてるのかはわからない。
ゆえにどれが白土本人の絵かわからない。
しかも私としては白土本人は初期以外ほとんど作画にかかわっていないだろうと思っている。
最初期の作品は当然白土本人の作画だろうと思うが、それ以降で「これが白土三平の絵である」として紹介されたのは初めてではないだろうか。
もっとも、カムイ伝やサスケが連載されていたころのことは私は生まれていないので知らないが。
また、ストーリーに関してもそうで、カムイ伝以外は別の人が作ってて、要するにサスケやワタリなんかはストーリーも作画も白土本人がかかわっていない、まったく別の人の作品かもしれないとも思っていた。
ところがこのスケッチには手慣れた素晴らしいタッチであのかわいらしいサスケが描かれている。
なんと白土三平はサスケが終わって50年以上たってもずっとサスケを描き続けていたのだ。
なんて感動的なことだろうか。
それはそうと私は少し前にここに、「目無し」という作品で、女であるスガルが血のニオイで隠れていることを追い忍に見破られそうになる、というシーンのことを書いたが、
この本に載っている白土三平の年表に、当時この作品が掲載された忍法秘話11巻の表紙には裸で足に「経血」を流しているスガルが描かれていると書かれている。
やはりあのシーンは自分の解釈であってたことが確認できたことと、この本を書いている人がちゃんと白土作品を読みこんでるということがわかる。