カブト割りw

f:id:cacti:20200628231722j:plain

白土三平の漫画には「カブト割り」という手裏剣の一種である武器が出てくる。

主にサスケの中で「四貫目」という忍者が使うが、カムイ伝でも出てきたような気がする。

サスケでは四貫目が自分で考えたものということになっている。

四貫目はスターシステム的に多数の白土作品に登場し、白土作品世界での最強忍者である。

とはいえカムイ伝に四貫目は出てこないのでカムイとどっちが強いのかはわからない。

四貫目は手裏剣を「無角」といって人間の盲点を利用して相手には見えず避けることのできない投げ方ができる。

カブト割りには穴が開いるものと開いていないものがあり、穴があるほうは投げるとピーッと音がする。

相手がある程度の熟練者だった場合、カブト割りは投げると音がするものだと気が付き、音でよけようとする。

そして、ここぞというときに、穴の開いていないほうのカブト割りを投げ、相手の頭蓋骨を割るのである。

盲点を利用するというだけでもすごいが、白土三平はいったいどうやってそんなトリックを思いついたのだろうか。

いや、このカブト割りなんて手裏剣を思いつくだけでもすごいが。

検索しても実際にあったという記事は出てこないので白土三平の創作物なのだろう。

そもそも現実で手裏剣なんか投げたって人が死ぬわけもないし、兜が割れるわけもないし、白土世界だからこそ存在し得る武器なわけだ。

 

 ちなみにスレ画はFusion360でいくつかの機能を試したくて作ったもの。

ネジを作成する機能、ネジに穴をあけエッジを丸めるというポリゴンモデリングだとうんざりするようなことをスムーズにできるかどうかあえてやってみた。

 

白土作品を読んでいると、どうやって思いついたのか、何が元ネタがあるのだろうかと感心する部分はたくさんあるが

「目無し」という作品でスガル(の妹)という忍者の家系に生まれた娘が、くノ一になることを拒否して浮浪者の少年に化けて身を隠す話がある。

スガルが草むらに隠れてる時に追手が「女のニオイ」がすることに気が付くが、

鼻血を出したスガルが草むらから顔を出し、追手は「鼻血か…」と言って少年がスガルであることに気づかない。

 子供のころはこのシーンの意味が分からなかった。

要するに追手は血のニオイがしたから女が隠れていることに気づいたのであり、

そこでスガルは自分の鼻を傷付け、鼻血であることにしてその場をしのいだわけである。

 

血のニオイで女だと気づくことが現実にあるのか創作なのかわからないが

いったいどうやってそんなトリックを思いついたのだろうか。 

自分を傷つけ、その場から逃げたり身を守ったりするのは白土作品ではたびたび出てくる要素だが、これもその一環で、野生動物のように必死で自分で身を守ろうとする壮絶さが書かれている。

この「目無し」は短編の中ではかなり好きな作品だ。

白土作品で一貫して書かれている忍者の世界の非情さがよく書かれているし、絵も初期のカムイ伝に近いかんじ。

スガルはスターシステムで他の作品にもくノ一の抜け忍として何度も出てくる、重要なキャラだしこの作品には四貫目も出てくる。

白土作品の中で非常に完成度の高い隠れた名作ではないだろうか。