KUBO/クボという明らかに白土三平に影響受けたデザインの主人公の映画があったが、
気になってはいるがまだ見てない。
三味線を持ってるというのがよくわからないセンスだったが、
白土三平の「風魔」という初期の作品に「コッパ」という主人公の少年が、とある事情で琵琶を手に入れ弾いているシーンがある。
髪で片目が隠れているところなども(白土キャラでは多いが)、コッパがモデルになってるのかもしれない。
といってもあのKUBOの主人公らしからぬ目つきの悪さはやはりカムイだろう。特に外伝前半のカムイ。
はっきり言って「風魔」は絵はいいが面白くないのでほとんど読んでないし、今回もパラパラと開いてみてもういいやって感じ。
このコッパというキャラは忍法秘話シリーズの「ヤマカシ」という短編にヤマカシという名で出てくる。
この話はなかなか味があるし、ヤマカシのキャラも面白い。
子供なのに何を考えてるのかわからない飄々としたキャラで大人の忍者たちを手玉に取る話。
この大人を小ばかにしたような飄々キャラはコッパとも共通している。
また、ヤマカシという名前の意味もよくわからない。最近まで他の白土キャラと同じように動物や植物など自然に関する名前だろうと漠然と思ってた。
ところが「ヤマカシ」をネット検索してみるとパルクール映画の「YAMAKASHI」の項に
「リンガラ語で『強靭な人間』や『強靭な精神』という意味を持ち」と書かれてるだけで、そんな言葉は日本にないし、その映画の話以外で使ってる人もいない。
あんな大昔に白土三平がリンガラ語を何かで知ってつけたのだろうか?なぜリンガラ語?不思議だ。
私は映画のYAMAKASHIが出たころにも「ああ、白土三平とおなじように、そういう名の動物からつけたのだろう」と思っていた。
天才バカボンに「鈴木一郎」というキャラが出てくる。
天才なのか馬鹿なのかわからない、家庭教師の大学生が舌を巻く知識の持ち主なのに1+1が分からないという、天才バカボンのタイトルを体現するかのようなキャラ。
私はこのキャラのエピソードがすごく好き。
私はこの鈴木一郎はヤマカシのオマージュではないかと思ってる。
飄々として何を考えてるかわからない、大人を上から目線で言いくるめる口のうまさ。
そしてなぜか所々で口癖のように「カア、カア」「ピーヒョロロ」など鳥の鳴きまねをするのがまた意味が分からないのだが
風魔ではやはりコッパがニワトリの真似をして水を飲むシーンがある。
当時白土三平は唯物論者と批評されてたようだが、鈴木一郎もサルトルの実存主義を語るなど哲学にも詳しい。
このころのバカボンはマンガを超越した何かになってると思う。