アニメのフランダースの犬のDVDをコツコツ見ててやっと見終わった。
なかなかよかった。
この作品は世界名作劇場としてはハイジの次の作品でスタッフは引き継いでる部分も多いが、宮崎駿も高畑勲もいない。
キャラクターデザインの森やすじは宮崎駿らの先輩で神のような人。
主要な登場人物は少ないがそれぞれが非常に魅力的に書かれているところが素晴らしい。
とくにアロアの父親のコゼツ旦那。コゼツのせいでいつもネロはあんなかわいそうな目に合うんだけど、コゼツは頭が固いだけで悪者ではない。
貧乏で学校にも行ってないネロが自分の娘であるアロアと仲のいいのを嫌ってはいるが、
コゼツの腰ぎんちゃくであるハンスの息子のアンドレの危険をネロが救ったときに、
礼を言おうともしないハンスを、「相手が子供とは言え礼を言うべきだ」と咎めるシーンがある。
かなり序盤のエピソードだけど、いじわるではないスジの通った人であることが描かれている。
ネロへの誤解がどんどんエスカレートして、後半ではコゼツの家の風車が燃えたのはネロの放火であるかのようになってしまい、
コゼツのネロへの怒りは頂点に達するが、証拠も無いそのことでネロを直接責めたりすることはなかった。
さらに、中盤では行方不明のアロアをネロが見つけたときには、ハンスの時とは逆に、コゼツが奥さんに「ネロに礼を言うべきでは」といわれるが怒りのあまり礼を言わずに去るシーンがある。
これはスタッフが意図したものかわからないが、ハンスの時と対照的になっていてコゼツのネロへの誤解が大きくなっていることががわかる。
そういうコゼツの人間らしさがしっかり描かれていることで、最後に自分の誤解に気づき、謝罪するために雪の中いなくなったネロを必死で探すシーンが感動的になる。
フランダースの犬はちゃんと見たのは初めてだが、子供のころからイメージとして持っていたような、ただの「貧乏で善良な男の子がいじめられて死んじゃうかわいそうな話」ではない。
ジェハン爺さん、コゼツの奥さん、隣のヌレットおばさん、木こりのミシェル、息子を亡くした貴婦人など
それぞれの登場人物のネロへのかかわりや人間性がとてもよく描かれている。名作。