昨今のアニメや実写ドラマで忍者をモチーフにしたキャラクターが刀を逆手に持ってるのをよく見かけるが
あれはカムイ伝のカムイの影響だろう。他に有名どころでは座頭市があるが座頭市は忍者ではないし。
- 作者: 四方田犬彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2013/09/10
- メディア: 文庫
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白土三平の作品でもカムイ以外のその他大勢の忍者は太刀を普通に持っていたと思う。
細長い太刀ではなく小さい刀なのもカムイ独自のものである。
また、白土三平とともに忍者マンガブームを築いた横山光輝の赤影や影丸も、
やはり小刀ではなく太刀を普通に持っている。
伊賀の影丸 (第1巻) (Sunday comics―大長編忍者コミックス)
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- 出版社/メーカー: 秋田書店
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私が子供のころは忍者大百科とか忍者のひみつなんて本がよくあったが
そういった記事にも忍者というのは「忍者刀」とういう少し小ぶりの太刀を持ってるのが普通で
カムイのような小刀ではなかった。
カムイ伝の中でも名前は忘れたが浪人に殺された死体の切り口を見て
水無月右近と松林剣風が「風仁の太刀」?だったか、刀を逆手に持った居合術の仕業だと見抜くシーンがあり、
白土三平はちゃんとそれを特殊な剣術であるということを表現している。
また、カムイが中盤以降で主に使っている刀は、侍である竜之進の命を救った礼でもらった
「脇差(予備の刀」だから普通の刀より小さいということも作品内に描かれている。
カムイはこの持ち方とこの刀で「変移抜刀霞斬り」という最強の技を編み出すわけで
この持ち方がカムイというキャラクターの「トレードマーク」であり「決めポーズ」でもあるのだ。
何が言いたいかというと、白土三平が作り出したカムイというキャラクターのアイデアを
安易に忍者キャラの普遍的なスタイルであるかのように使ってほしくないということですけどね。
これはひと昔前の漫画やゲームなんかで、中国拳法やカンフーの使い手というキャラは、
たいてい「アチョー」と言ってヌンチャクを振り回して出てきたりするが
ヌンチャクというのは沖縄の古武術の武器であり、それをブルースリーが映画に採用したのであって
カンフーで使われる武器ではない。「アチョー」という声もブルースリー特有のものでカンフーは関係ない。
さすがにそれらは今ではあまり見なくなったが、昨今の忍者キャラの刀の持ち方にそれと同じ違和感を感じる