駅前の歩きたばこ禁止の区域で歩きたばこしてる茶髪のDQNがいるので呼び止めて注意する。
なんか最近こんなことばかりしてる気もするが、こんなことばかりしてるのは自分が神経質なだけなのだろう、
自分だってそうまじめな人間でもないくせに、浅い正義感を振り回したいだけなんではなかろうか、という思いもあるので我慢してたのだが
そいつがその日見た二人目の歩きたばこ犯だったのだ。
こういうやつに私のようなおっさんが注意しなければ誰が注意できるだろう。キャシャーンがやらねばの心理。
都会では歩きたばこ禁止の場所は多いと思うが、この辺ではこの駅前だけなので喫煙者が知らないはずはない。
しかもそいつは仕事帰りのようだから常習犯だろう。向かっていく方向に灰皿はないし、毎日ポイ捨てしてるに違いない。
呼び止めて注意すると案の定、開き直って「あんたは関係ないだろう」「何様なんだ」とお決まりの反論をしてくる。
「関係ないわけあるか。俺はここの市民なんだから市のルールを守らないやつを注意する権利がある」
などと責め立ててると
「俺はあんたのこと知ってる。○○ホテルにいたろう」とか言い出した。
昔私がウエイターをやっていたホテルでフロントにいたらしい。私は見覚えがない。
あの殺人的に超多忙だった職場にいたなら社員同士の結束力は強かったので顔くらいたいてい覚えてる。
そもそもこんな茶髪の品の無い奴がフロントにいるわけないんだが。
そいつが車で帰った後もそのことを考えてたら、思い出した。フロントにいた人だ。
あの頃は二枚目で黒髪で、まじめで礼儀正しく笑顔を絶やさない感じのいい人だった。
何度か別の部署に一緒に手伝いに行ったり、何度も話をしてる。
後から入ってきた年下の私にも優しく、私も好感を持っていた人だ。
たしかフロントだったのが、最上階の高級バーカウンターのマスターがやめた時に代理に抜擢されて
若いのにしかもフロントからバーのマスターなんて大変そうで同情して様子を見に行ったりしてた。
それも二枚目なのと、まじめで人当たりがいいから上からの信頼もあったのだろう。
全く雰囲気が違うので顔を見ても思い出せなかった。
茶髪になったのと服装が仕事帰りの作業着なのと(ホテルの時は蝶ネクタイにタキシード。私もw)
あとだいぶ痩せたのだろうか。背が低いのとDQNぽい服装もあって私は年下だと思って説教してたけど年上だった。
というか年下だと思ってたから思い出せなかったのだった。
なぜあんなになってしまったのだろうか。
歩きたばこがいけないことはわかってたろうが、後輩だった私に注意されてどんな気持ちだったろうか。
私も話してる途中でその人だと気づいたらもっと違う説得ができたかもしれない。
なんか不思議な出来事だった。