魔夜峰央の短編集を読んでいたら、昨日の今日でなんと白土三平のパロディらしき話があった。

パタリロにもギャグでパタリロが忍者になったり忍法を使ったり、忍者風の戦闘員などは出てくるが、

多くはどちらかといえば横山光輝風だった。

この短編は「嘘」というタイトルで、主人公はもろに外見がワタリ風。

主人公が旅先で立ち寄った空き家に、3人の別々の職業の先客がいる。

自分が忍者であることをついばらしてしまうと、その3人も実は敵の忍者で襲われる羽目になるが、その後、実は主人公も3人も忍者であることは嘘だったというオチ。

 

このシチュエーションはカムイ外伝の初期にある「暗鬼」のパロディだろう。

カムイも逃亡中に立ち寄った空き家に複数の職業の人たちがいて、この時カムイは追手の気配を感じていて疑心暗鬼になっている。

一人づつ謎の事故で死んでしまい、そのたびに皆は協力して助け会おうとするが、

カムイだけ追手の罠かもしれないと思い助けることをしない。

最後の一人も死んでしまった後、追手は実は訓練された犬だったことがわかり、

誰も助けることができなかった自分に後悔をするという話。

 

そしてこのシチュエーションは白土三平のアシスタントでもあった楠勝平の「名刀」という作品にも似ている。

これも複数の職業の人たちが、旅の途中で休憩のために空き家に集まっているところから始まる。

おそらくカムイ外伝のあの時期の話は楠勝平の作だろうと思ってる。

ペンの強弱が強く、走り書きしたようなゆがんだデッサンで人の表情を表現している。

人間の命や死のことを書いたエピソードが多い。短編でストーリーの構成がしっかりしている。

楠の作品はあまり多く読んでないが、農民や職人など働く人の描写が多いのも特徴らしいし、それもこの時期のカムイ外伝と重なる。

あってるかどうかはわからないが、今になって新しい発見をした感じ。

また外伝を読み直さなくては。