アルプスの少女ハイジ (角川文庫)

アルプスの少女ハイジ (角川文庫)

 
アルプスの少女 (講談社 青い鳥文庫)

アルプスの少女 (講談社 青い鳥文庫)

 

 アルプスの少女ハイジの原作を読んだ。

上の角川文庫のほうは、アニメに近い、アニメがこれを参考にしているという噂だったので読んだ。

 下の講談社のは何でもいいから違う人の翻訳を読みたいと思って一番安かったから買った。

角川もよかったが、講談社のほうが時代が新しいせいか読みやすく、内容もよかった。

他にも子供向けの字の大きいのも2冊ほど読んだ。

元はアニメとの比較のために読み始めたんだけど、読んでわかったのはこのアルプスの少女という作品はとにかく原作からして素晴らしいですね。

アニメもすごいですが、この細やかな人物描写と飽きさせない展開は高畑勲宮崎駿によるものだと思ってましたがすでに原作にあるものだった。

後半に行くにつれてハイジが元気になって、周りの人もどんどん幸せになって、爆発するかのように盛り上がっていく描写はすごいですね。

こんな物語や演出は小説はもちろん漫画やアニメでも他に見たことないです。

 

アニメとの比較という点では、アニメでは後半クララがアルプスに来たときに

ペーターのおばあさんに聖書を読んであげるシーンがありますね。

おばあさんに褒められ感謝されることで、いままで周りに世話になるばかりだったクララが、初めて自分も人の役に立てることを知るいいシーンです。

これはどの原作にもないので、アニメのオリジナルのようです。

原作ではハイジが花を摘みに行くのに、歩けないクララが寂しがらないように

子ヤギの「ユキちゃん」を置いていくんですが、その弱弱しい子ヤギが自分を頼ってくる姿を見て、

クララは自分も人の役に立ちたいと気付くのです。

これもいいシーンですね。あとがきで翻訳者が最も印象的なシーンだと書いてました。

 

逆に、原作を読むことで、原作にないアニメのオリジナルシーンで、アニメのすごさを再確認できる部分もあります。

私が特に思うのはクララの父、ゼーゼマンとクララのおばあさんのキャラですね。

アニメではゼーゼマンは初登場の時に、出張から帰ってきて家に入ると子供のように走ってクララに会いに来る。

このシーンでゼーゼマンが一人娘を持つ子煩悩な若くて優しい父親だと一目でわかる。

つらい思いばかりしてるハイジに強力な見方が表れてストーリーも明るくなってきます。

この演出は原作には無い。

何年か前にアニメを見なおした時にこのシーンすごいと思った。父親をこんな風に描くなんて。

一人娘がいる若い父親ってこうかもしれない。

原作のゼーゼマンも優しく紳士的だがもう少し固い。家の中を走ったりしそうにない。

アニメではクララのおばあさんは初登場の時は動物か何かの被り物をしてハイジとクララを脅かそうとする。

コップを並べて楽器代わりにたたいてロッテンマイヤーさんに睨まれたりする。

別れるときは二人が寂しがらないようにパーティーを開いて、にぎやかな時にこっそり帰る。

これもアニメオリジナルだと思う。原作のおばあさんは仏様か女神のようにやさしいがこういうひょうきんさはない。

 

ちなみに実写映画も新旧3本ほど出てて全部見ましたが、映画はどれもこれといっていいのは無かったですね。

ところどころにいい部分もありますが。