オーディオマニアがよく、CD-RのメディアやHDDによって音質が変わるというのを書いてるのを見かけるが、
デジタルデータというのがどういうものかある程度理解があればそんなことはあり得ないことはわかるはずなんだけど。
かといって音質に対して鋭い耳を持っているはずの彼らが「実際聞き比べたら明らかに違うのだ」と言い張るのを否定するほどの根拠もない。
いちど掲示板でそう言ってるオーディオマニアを問い詰めたことがあるが、彼らの言い分はこうだ。
「どんなCDでもHDDでも小さい読み取りエラーというのは頻繁に起きている。だから高価なCD-Rやハードディスクのほうがエラーが少なく音質がいいのだ。
エラーの補正というのはデジタル機器の世界では当たり前のことであり、お前らはそんな常識すら知らないから、音が変わらないというのだろう」
というのである。
たいていの人は何がおかしいかすぐわかると思うんだけど、確かにCDやHDDの読み取り時にエラーは起きていて補正されている。
だけどデジタル機器のエラーの補正というのはエラーを適当なデータで埋めるわけではなく、完全に元のデータを復元してるのである。
そうでなければCD-RやHDDに保存したソフトは正しく動かないし、重要なデータを保存することもできない。
CDでもHDDでも、データを書き込んだ時にエラーを訂正するためのデータを同時に書き込んであり、
それによって小さいエラーがあっても、完全に元の正しいデータを読みだすことができるようになっている。
だから補正できる範囲のエラーであればメディアの品質によるエラーの多い少ないは音質に全く影響しない。
故に、CD-RやHDDによって音質が変わるというのは、先述のオーディオマニアのセリフのように、勘違いの思い込みから生じるプラシーボである可能性が高い。


ただし、一般的なCDプレイヤーには、エラー補正できないような大きいエラーがあった場合にも、エラーを無視して再生がとぎれないようにする機能があるそうだ。
パソコンのCD再生ソフトやオーディオソフトにはそのような機能はないそうで(ソフトによるかもしれないが)、
パソコンで再生しようとすれば止まってしまうようなひどい傷があるCDでも、CDプレイヤーやオーディオ専用機であれば、
ある程度適当なデータで埋めて再生する機能があると。
これなら傷の無いCDのほうが音質がいいと言えるかもしれないが、それはエラー補正できないような大きな傷が多数あった場合の話だ。
おそらくその話と混同してるのだろう。
たしかに先述のエラー補正の意味が分かっていなければ、この違いも分からないだろうから、混同するのも仕方ない。